khurata’s blog

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太陽の塔 (森見登美彦・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 京都の狭い範囲で繰り広げられる、妄想の強い男子大学生達のおかしみ溢れる生態が、当の学生本人の語りにより綴られていく。 客観的には全く大した事ではない事を面白おかしく殊更に理屈っぽく大袈裟に語ってゆく様は、少し下品で明るい芥川龍之介のようで、なかなか巧みな筆致。

 主人公は嫌味ったらしく青臭い奴のはずなのに、読み終わると全然そうは思えず、むしろ可愛げがあるように思えてしまうのも、著者の筆力に依るものだろう。 

太陽の塔 (新潮文庫)

太陽の塔 (新潮文庫)