khurata’s blog

khurata’s blog

瑠璃でもなく、玻璃でもなく (唯川恵・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 「朔也」と「友章」という二人の男性に絡む、「美月」「英利子」たち女性陣それぞれの恋模様が描かれる。 不倫、結婚、離婚、退職、起業と、目まぐるしい程の人生の転機が彼女達に訪れる。

 読後あらためて考えてみると、何だかんだで一番美味しいところを持って行くのは朔也であり、朔也が得たもの、それは結婚や幸せなセックスや幸せな家庭生活や子供なのであるが、そうしたものを友章は何ひとつ手に入れられない。 朔也も友章も、関わっている女性は似たようなもので、彼らの誠実な性格も似ていると感じられるのだが、なぜか得るものがまるで違う。

 女性と会うとなれば何もかもスマートにセッティングしエスコートする友章は得られず、どちらかと言えば不器用で女心の分からない朔也は多くを得る。 これは読んでいて不思議な感じもするのだが、世の中とは案外そうしたものかも知れない、とも思う。

 読後、少し物足りなく思うのは、朔也が自身の晴れ舞台とも言える展示会に英利子も美月も誘っていながら、彼女達二人が会うこと無く終わってしまう点である。 仕事に打ち込み、かつての結婚と離婚にしっかりピリオドを打った英利子と、略奪婚の上に子も儲けた美月が、互いの確執から5年を経て、それぞれ大きく成長してから出会うシーンも個人的には見たかった。 

瑠璃でもなく、玻璃でもなく (集英社文庫)

瑠璃でもなく、玻璃でもなく (集英社文庫)