khurata’s blog

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コンビニ人間 (村田沙耶香・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 とても真面目に書かれた悲しきギャグ小説。 そんな奴いるわけないぞ、というスレスレの所に在る主人公と、最低人間「白羽」のキャラクター造形が実に面白い。 この白羽という男も「そんな奴~」的人物であり、ある意味では主人公の別の形でもある。 そんな二人が同棲(?)に至ったのが何となく納得できてしまうのが妙に面白い。

 この二人以外の登場人物達は皆「普通」の常識人であるがゆえに、この二人は「二人の世界」に守りを求めねばならない。 白羽は「普通の」人間にとっては擁護のしようが無いほどの最低人間なのだが、何らかの「守り」が必要であることは分かる。 「守り」を必要とする二人は、束の間の安定した「守り」を得ても、「「守り」を要する人間」であるがゆえに、その「守り」を壊してしまう。 そこには成長も救いも無く、その破綻は最初から決まった運命であると私には見えた。

 しかし、そんなはかない束の間の「守り」だからこそ、その期間は小説として書かれるに値したのだろう。

 また、ラストシーンの後、おそらく主人公はコンビニに復帰したのであろうが、最低人間・白羽はどうなったのか、そっちが非常に気になってしまう。 白羽は『闇金ウシジマくん』に出てきそうなキャラクターであり、アクも印象も主人公より強い。 

コンビニ人間 (文春文庫)

コンビニ人間 (文春文庫)