khurata’s blog

khurata’s blog

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン ( リリー・フランキー・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 本作の内容の全てが、もし著者の「創作」であるのなら、とてつもない筆才と言わねばならない。 声を出して笑ってしまう所も有れば、涙、涙の別れも有り、その数年後の主人公の姿には、じんわりと胸を打たれる。 母を思う男性にとっては非常に「来る」作品であろう。 本作が大ヒットしたのは当然と言わねばならない。

 しかし意地の悪い事を言えば、本作は多分に著者の半生・実体験を基にした私小説的作品と思われ、従って、これ以上の傑作を、もはやこの著者は書けないのではなかろうか(この点を逆に取れば、本作は著者という一箇の人間による畢生の大作であるとも言える)。