khurata’s blog

khurata’s blog

きみのためにできること (村山由佳・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 自分を棚に上げる事にもなるが、本作を読んでいると、つくづく男というものはずるい生き物だな、と思わされる。

 それはそれとして、本作は歯がゆいばかりの若い恋の物語だ。 舞台は20世紀末の日本、「パソ通」でメールボックスサービスを介して連絡し合う主人公「俊太郎」と、恋人の「日奈子」が、ほのぼのとしたやりとりをしている所から物語は始まる。

 「業界」の仕事人間としてどうしても日奈子とすれ違いが多くなる俊太郎は、日奈子の淋しさに気付けない。 それがために、2人の間には遂にのっぴきならないほどにヒビが入ってしまうのだが、最後は「きみのためにできること」にやっと気付いた俊太郎が、日奈子の気持ちを汲むために走る。

 俊太郎がそこに気付くまで、日奈子はメール文面でしか現れない、という演出もなかなか効いている。 

きみのためにできること(集英社文庫)

きみのためにできること(集英社文庫)

  • 作者:村山 由佳
  • 発売日: 1998/09/18
  • メディア: 文庫