khurata’s blog

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動物記 (新堂冬樹・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 動物と野生環境に関する膨大な知識と、動物への愛に裏打ちされた確かな作品。

(「膨大な知識」は直接書かれているわけではないが、このような作品を書くにあたっては、直接作中に表れない相当量の知識がバックグラウンドとして必要なはずである。そしてそのような著作を可能にするには対象への愛か執着が無ければならない)

 人間側のキャラクター造形がややステレオタイプ的で、それが本作をやや教科書めいたものにしてしまっているが、読者層を小学校高学年~中学生くらいに想定しているならこれで良いと私は思う。

 大人が読んでも動物に関する描写はけっこう読み応えが有るが、それに比べると人物の描写は浅い。 もっとも、これはおそらく意図してそう書いているのだと私は勝手に解釈した。

 なお、相当な残虐描写がちらほら見られるが、未成年の頃に、そういう表現に触れるのは決して悪いことではない(これがよろしくないと言うのなら、福音館書店の『西遊記』など子供には読ませられないであろう)。 

動物記 (角川文庫)

動物記 (角川文庫)

  • 作者:新堂 冬樹
  • 発売日: 2008/01/24
  • メディア: 文庫