<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>
あっという間に読み終わってしまうのが勿体無さ過ぎる面白さ。 時には楽しく笑わせ、時には微笑ませ、時には痛快で、時には勇気を与えてくれる。 人生の、小さな事かも知れないが大切な事を教えてくれる小説。
個人的には「茹でダコ」ゴンちゃんこと「美帆」の純朴な喋りや仕草がいちいち面白くて笑ってしまった。 こんな漫画みたいな人物がいるわけ無いだろう、と言う向きも有ろうが、私は許容範囲だ。 女子高生「悦子」の喋りもなかなかの切れ味。 「時江」の凜とした振る舞いも涼やかで気持ち良い。
ほぼ半分まで読み終えた時の作品の仕掛けも面白い。 前半と後半の、微妙な空気感の切り替えも見事。 前半は楽しく面白く読者を引きずり込み、後半はそれを回収して、少しほろ苦くも後味の良い作りで終わってゆく。
登場人物は圧倒的に女性が多いのだが、彼女達の幸せを願わずにはいられない。 「じゃあ、ショウコもがんばる!」と涙目で言ったカッコいい少女も印象深い。
それにしても著者は野草と、「料る」という言い回しが好きだなぁ、とつくづく思う。