khurata’s blog

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大阪都構想の住民投票について

 昨日(令和2年11月1日)、注目されていた「大阪都構想」についての住民投票が終わり開票された。 結果はご存じの通り「都構想」反対多数で、現行の「大阪市」存続が決定したが、賛成票と反対票の差がきわめて小さく、両者の意見は実に拮抗していたと言える。

 事前の報道によれば、賛成多数なら特別区制に移行、同数もしくは反対多数なら現行のまま、という取り決めであったそうだが、私は、「賛成が反対の2倍以上というくらい圧倒的で無ければ、現行のままが良い」と考えていた。 たとえ1票でも賛成が多ければ断行、という方法で改革してしまったら、改革に反対していた住民との溝を深めるだけであろう。 そんな状況を招いてしまっては、自治への参加欲や地域への帰属感は得られないであろう。

 改革がうまく行くと事前に分かっているなら、たとえ1票差でも断行して良いであろうが、うまく行かない・今のままで良いと考えている人も多いからこそ住民投票に委ねたのだろう。

 やってみなければ分からない事に対して、「たとえ1票差でも多数決」を断行するのは、民主主義として正しい方法では無いのではないか、と私は考える。 「住民投票過半数なら断行」の根拠となったのは、おそらく憲法96条ではないかと思うのだが、仮に、改憲国民投票で、僅差で改憲断行となったなら、国民の間に深刻な政治的分断を招くのは明白であろう。 こういう事は、過半数が「正しい」わけではないのである(※)。

 

※ ブログ筆者自身は改憲派である。 しかし簡単に変えて良いとは考えていない。 国によって改憲の事情は大きく異なる。 我が国においては70年以上も同じ憲法を運用し続けてきたという実情が有るのであり、これを変えるなら相応の慎重さが必要だと考えている。 たとえは良くないかも知れないが、相撲や野球のような、長く続くスポーツのルールを改正するとなれば、必ず大きな論議が巻き起こるもので、「長く続いた制度」を変えるという事は、簡単に片付けて良いものでは無いのである。