<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>
スキー場のゲレンデを「人質」に取るというサスペンス・ミステリー作品。
半分くらい迄読んでいると、「根津」や「倉田」が疑うよりも前に、「入江」親子が怪しい、と一瞬思うのだが、彼らはカネ目当てで犯行をする動機が無い、とも気付く。 何が何だかよく分からないまま読み進めると、どうやら犯人は1人ではなく、1つの犯行に乗じた別の犯行が重なっているらしいと気付かされる。 終盤、「筧」社長の演説で、犯人の1人はほぼ確定できるのだが、なぜそんな事をするのか、そして下手人が誰なのかは、この時点では私には分からなかった。
クライマックスでは怒濤の謎解きと共に、ゲレンデ爆破時限が迫るスリルが描かれる。 ラストはあっけない程の解決を見るのだが、読後気になるのは「身代金」の行方だ。
とまれ、登場人物達の物語上の役割分担に一分の隙も無い、見事な筋立てであった。