khurata’s blog

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警視庁情報官ハニートラップ (濱嘉之・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 単行本『公安特命捜査 警視庁情報官Ⅱ』を改題・文庫化した作品だそうだが、この改題は果たして良かったのかどうか。 この改題のせいで、読者は主人公「黒田」の恋人「文子」を、最初から怪しいと思って読んでしまう。 まあ、改題が無くても読めば文子が怪しいことには違いないのだが……。

 黒田の、卓越した無駄のない捜査手法が実に鮮やか。 組織の存在意義とは、その力を使うことであり、上手い使い方をすれば良い仕事ができる、という黒田の仕事哲学は、普通の仕事でも充分に生かせるはず。

 これだけ濃い内容が、これだけの字数にコンパクトに収まっているのは黒田の有能さ、ひいては、それを描出し得る著者の筆力に依るもの。 著者の経歴を見れば成程とは思うが、この文章力は見事と言うほかない。 

警視庁情報官 ハニートラップ (講談社文庫)

警視庁情報官 ハニートラップ (講談社文庫)

 

 勝手に正誤表

文庫版 第1刷 P.137 誤 航海上 → 正 公海上