khurata’s blog

khurata’s blog

空飛ぶ馬 (北村薫・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 一見、少な過ぎると思われる不思議な情報を材料に、その情報を矛盾無く組み上げる唯一であろう解を瞬時に導き出す真打ち噺家と、その噺家の追っかけ的ファン女子大生、そして彼女の友人や大学の教授達をも交えた、日常に潜む謎の推理劇。

 いわゆるアインシュタイン・パズルを解くような感じが有り、「この世には不思議なことなど何もないのだよ」という某有名キャラクターの台詞を思い起こさせる。

 女子大生の喋り方や文体に些かの古さを感じるのは平成元年の作ゆえ致し方無い所だが、それで本作の価値が減じるものでもない。 「円紫師匠」の名推理は常に鮮やかだ。 

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)

  • 作者:北村 薫
  • 発売日: 1994/03/27
  • メディア: 文庫