<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>
高校生の心理が織り成す、地味で静かな恋物語の短篇集。
彼らにとって恋は、人間として成長するための儀礼でもある。 それは解説の瀧井朝世氏が言う通り、甘さだけのものではない。 何らかの膜で包まれた甘い何かを、その中身の甘い味も見た目もよく分からずに味わっている、そんな恋模様が描かれている。
それはあまりに純朴で、人によってはまどろっこしい位かも知れないが、本作はそうした異性との距離感描写が本当に上手いと思う。