khurata’s blog

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七つの会議 (池井戸潤・著)

<この記事は普段フィクションをほとんど読まない私が作者や作品などの情報・評判を全く知らずに、ただ作品だけを読んで好き勝手に書く読書感想です>

 4つの会社それぞれの思惑を軸に物語られる企業人達の人生とその交錯。 巨大化した組織と個人経営との対比の中、「商人の魂」を失ってゆく大企業の内実が生々しく描かれる。

 「主人公」ポジションに在る男が、次第に本領の鋭さを発揮してゆく後半部分はかなりの迫力だが、ちょっと出来過ぎな感じがしなくもない。 また、これだけ複雑な内実を描いたわりには、かなりあっさりした終わり方なのは正直物足りない。

 とは言え、こんな複雑な話を、文字だけで活写し切る著者の筆力は恐ろしいほど。 まるで眼前に映像が展開しているかのような読み応えで、なるほど著者の作品が多く映像化されているのも納得できる。

 個人的には「ねじ六」の行く末がどうなったかが気掛かりで、その辺りも終盤に触れて欲しかったと思う。 この点が、終わり方に「あっさり感」を感じた理由かも知れぬ。 

七つの会議 (集英社文庫)

七つの会議 (集英社文庫)

  • 作者:池井戸 潤
  • 発売日: 2016/02/19
  • メディア: 文庫
 

 (こちらは日本経済新聞出版による Kindle 版)