khurata’s blog

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スリープや休止についての私的まとめ(特に Windows について)

(もともと「Yahoo!知恵袋」の「知恵ノート」だったものを転載しています)
(最終更新日時:2017/5/10)投稿日:2017/5/10

はじめに

 ノート PC などで多く採用されている「スリープ」や「ハイバーネーション」「休止」といった機能が、それぞれ「何が何の事なのか分かりにくい」と思っていたので、自分なりに情報を集めて整理してみました。

 

ACPI のシステムスリープ状態

 ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)とは、PC 製造主要各社で取り決めた、PC の電源管理・関連動作に関する規格です。 この ACPI 規格は 1997年から使われており、現在ではほとんどの PC が ACPI に準拠しています。
 ACPI には、いくつかの「システムスリープ状態」(Sleep State)が定められており、以下の段階・種類があります。 これについて知っていないと、Windows の休止やスリープが正確に理解できません。

  • S0(通常稼働)
  • S1(スタンバイ)
  • S2
  • S3(スリープ)
  • S4(ハイバーネーション)
  • S5(電源断)

 S0 から S5 に行くに従って、消費電力が下がります。 また、S4 から S1 に行くに従って、S0 へ復帰する時間が短くなります(S5 から S0 の復帰はできません)。

S0(通常稼働)

 CPU、チップセット、メモリなどの PC の全てのデバイスに給電している状態です。 もちろん消費電力は高いです。 S1 から S4 までのスリープ状態からは、この S0 に復帰することができます。

S1(スタンバイ)

 CPU のクロック低減や、CPU キャッシュへの電力供給断などにより、CPU の性能を落として消費電力を低くした状態です。
 クロック復帰や CPU キャッシュへの電力供給などで S0 に復帰します。
 復帰の契機はタイマ設定などです。

S2

 CPU の状況をメモリに保存してから CPU への給電を停止し、S1 よりも更に消費電力を低くした状態です。 ただしチップセットやメモリには給電されています。
 メモリから CPU への状態書き戻しで S0 に復帰します。
 復帰の契機は電源ボタンや WOLWake On LAN)です。
 ただし、S2 が実装された例はほとんどありません。

S3(スリープ)

 STR(Suspend To RAM)とも呼ばれます。
 CPU とチップセットの状況をメモリに保存してから、CPU とチップセットへの給電を停止し、S2 よりも更に消費電力を低くした状態です。 ただしメモリには給電されています。
 メモリから CPU とチップセットへの状態書き戻しで S0 に復帰します。
 復帰の契機は電源ボタンや WOL です。

S4(ハイバーネーション)

 STD(Suspend To Disk)とも呼ばれます。
 CPU とチップセットの状況をメモリに保存してから、メモリの内容をディスクに保存して、システムを電源断し、消費電力をほぼゼロにした状態です。
 ディスクからメモリに状態を書き戻し、さらにメモリから CPU とチップセットへの状態書き戻しで S0 に復帰します。
 復帰の契機は電源ボタンや WOL です。

S5(電源断)

 特に状況の保存をせずにシステムを電源断した状態です。 消費電力はほぼゼロになります。
 復帰は出来ません。

 

システムスリープ状態の別名

 本来、S0 とか S1 と言っておけばそれで済む話なのですが、ややこしい事に、OS によっては、これらに以下のような「別の呼び名」を付けています。

サスペンド
 S3 のことです。

・ハイバーネート(ハイバーネーション)
 S4 のことです。

・シャットダウン
 S5 のことです。

 

Windows における別名

 さらにややこしい事に、Windows では、また別の呼び名を付けています。

・スタンバイ
 S1 のことです。
 ノート PC の場合、バッテリー残量が少なくなると、Windows は「休止」への移行を試みます(後述)。

・スリープ
 S3 のことです。 他の OS で言うところの「サスペンド」です。
 ノート PC の場合、バッテリー残量が少なくなると、Windows は「休止」への移行を試みます(後述)。

・休止
 S4 のことです。 他の OS で言うところの「ハイバーネート」です。
 Microsoft は「休止はスリープよりも電力消費が少ない」と言っていますが、その通りです。

・ハイブリッドスリープ
 Windows が、「休止」に移行できるようディスクに状況を保存した後で「スリープ」することです。
 ハイブリッドスリープへの移行には時間がかかりますが、休止になっていなければ迅速に復帰できます。
 またノート PC のバッテリー上がりなどによってスリープが不可能になっても、電源を供給すれば休止から復帰が出来るわけです。

 

おわりに

 Windows や、他の OS が色々な名称を言っていますが、結局は ACPI のシステムスリープ状態さえきちんと押さえておけば良い……という話でした。

 

参考リンク

http://ja.wikipedia.org/wiki/Advanced_Configuration_and_Power_Interface
http://www012.upp.so-net.ne.jp/cool_r32/pc/rx53/tips02.html
http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows7/sleep-and-hibernation-frequently-asked-questions

(転載以上)